【事業検証期(0→10)シード期編】急成長したスタートアップに聞く、事業成長フェーズごとにぶつかった事業・組織の課題とその対策

【事業検証期(0→10)シード期編】急成長したスタートアップに聞く、事業成長フェーズごとにぶつかった事業・組織の課題とその対策

2020.03.21

■はじめに

ここ数年間、資金調達に関する事例やノウハウの共有はおおきく進みました。
しかし、事業フェーズごとに起業家がぶつかる壁(課題)についてはあまり共有されていません。
壁にぶつかる度に先輩経営者へ相談している人がほとんどです。

そこで今回、急成長してきたスタートアップ、もしくはここ数年でIPOした会社のCXOに対してヒアリングを行い、事業フェーズごとに「気をつけるべき課題」についてまとめてみました。今回はシード期編。

将来何が起きるのか、あらかじめ把握しておくのがベストだと思うので、ぜひご一読ください。記事は定期的にアップデートしていきます。

レイター/プレIPO期編:https://www.startuplist.jp/alliance_posts/9




▶0から100までの道のり(書籍「0 to 100 会社を育てる戦略地図」図引用)






事業検証期(0→10)シード期:気をつけたこと・失敗事例

アイディアに価値があるか仮説検証をしている段階。
顧客探しと試作品づくりを繰り返し、事例づくりや情報発信、ネットワーク構築を行う。

安易にCXOとして巻き込むこと

起業家コメント

  • 協力してくれる人を安易にCXOクラスに入れてしまうとそれ以降に入る優秀な方とハレーションが起きるので注意。

  • いきなりCXO前提で採用する動き自体がまずNG。事業の型が先にあるべきで、役職タイトルが先に来るべきではない。自分たちがやりたいことを軸に探す方がよい。急がば回れ。

  • 組織は上(経営陣)から創ること。役職好きな人は多いため、後からの役職者採用は既存メンバーとの不和を生みやすい。最初から優秀な役職者がいれば、文句をいう人はいない。

  • とある急成長スタートアップは最初の幹部7人を集めるのにすごく時間を使ったという話がある。もう一回起業するなら1000万払ってでも、ちゃんとした人を3人目、4人目に入れて、優秀な人を絶対集める。

  • 採用を外部のエージェントに丸投げするのはお薦めしない。オーナーシップが醸成されないし、経営陣がちゃんとコミットすること。

  • 聞き手コメント

  • 元々ネットワークを保有する方であれば優秀な幹部候補を見つけることも容易ですが、初めて起業をする方の場合、優秀な幹部候補の採用に苦戦する人が大半です。シード段階で優秀な人を巻き込むのはかなり難易度が高いため、これは!という人がいたら定期的にコンタクトをとっておき、少しずつ口説く方が多い印象。

  • 最近では優秀な人材が副業や兼業の形で、面白い挑戦をするスタートアップと関わりたいというニーズがでてきています。シューマツワーカーやデジパラ、ミライワークスのようなサービスを活用しながら、優秀な人材を巻き込む方も増えています。優秀な人材は、他の優秀な人材を知っている場合が多いので、人の繋がりを横展開すると良いと思います。

    関連記事:シードステージとは?特有の課題や最適な資金調達手段を紹介

  • 役に立ちそうなお薦めサービス

    Yenta
    普段は繋がる機会の少ない多種多様な領域のプロフェッショナル同士を繋ぎ、働き方の多様化、オープンイノベーションや生産性の向上を促進するアプリ。

    Wantedly
    給料や待遇などの条件ではなく、やりがいや環境で求人者と求職者をマッチングする採用広報ツール。

    シューマツワーカー
    “副業”したい人と企業をマッチングするサービス。優秀なエンジニア、デザイナー、マーケターなどが面白いスタートアップに関わるために登録している模様。

    デジパラ
    マーケター特化型のマッチングサービス。HP上の情報はほとんど無いが、スタートアップのCMO経験者などとの豊富なネットワークをもっているとのこと。


    次の資金調達(株式)に向けて注意すべきこと


    起業家コメント

  • シードの時は事業づくりに力をいれて、資金調達をする際に”事業場のユニットエコノミクス(顧客1人当たりの収益性)”が実現されること。これができていないと、投資家との会話が進まないので、事業の実績をつくってから、次の資金調達にうごいた方がよい。
  • シードはまだプロダクトが磨かれていない段階。自分に見えている景色(事業の将来像)があれば、シード投資家やエンジェル投資家からの資金調達はすぐに可能。ただ、今の資金調達環境だと安易に調達に動く人は多いが、仮説検証がうまくいかずにこけたときは詰んでしまうリスクがある。実際にまわりの起業家でそんな人はおおくいる。
  • 株式での資金調達だけではなく、お金が潤沢になるタイミングで融資も行ったほうがよい。自己資本が多くなったときなら融資を受けやすいし、お金が無くなってからだと貸してくれない。(日本政策金融)公庫であれば、無担保・無保証人で貸してくれるので使わない手はないと思う。
  • 顧客に対するコンサルから入り込んで、コンサル先の課題解決できるプロダクトを作ること。その上でプロダクト開発をして事業を広げていくことをおススメする。ある程度PL(収支)が回っていくモデルの方がちゃんとプレシリーズAまでは超えられるという感覚。
  • 知り合いの会社で3億円調達したけど、エコノミクスが回らずに会社が休眠状態になった先もある。シードの時は事業づくりにリソースをかけて、調達をする際にエコノミクスが回るレベルまでもっていって資金調達をした方が良いと思う。
  • 次回以降の資金調達ラウンドで入ってほしい投資家には、かなり最初の方からコミュニケーションをとって、定期的に報告すると良い。会社の変遷を見ていると信頼関係が構築できて、次の調達がスムーズになる。 関連記事:エンジェル投資家とマッチングするには?おすすめ方法4選と落とし穴

  • 聞き手コメント

  • シリーズAで資金調達ができずに足踏みをするスタートアップはとても多いです。最初に立ち上げたサービスがうまく軌道に乗る起業家は少数。軌道に乗っていない場合はもうひと踏ん張りが必要になる。でもお金がないから詰んだ状況へ

  • 資金調達がうまくいかなった起業家が次にとる行動は、①受託などでお金を稼ぎならサービス開発を継続するパターン、②お金を切り詰めながら何とか投資家を探し続けるパターン、③事業ピボットして再稼働を目指すパターン、④諦めるパターンの4つになります。

  • 資金的な余裕がなくなってからでは日本政策金融公庫からの融資もきびしくなってしまうので、可能であれば創業初期のタイミングか、投資家から資金調達をした直後のタイミングに合わせて融資を受けてしまうことをお薦めします。




  • 役に立ちそうなお薦めサービス

    INQ [融資]
    シードスタートアップの融資支援に特化した専門チーム。成功率99.9%の確実かつ迅速な融資サポートを実現しているとのこと。

    ファンディーノ [株式型クラウドファンディング]
    初のEXIT案件もでてきた株式型クラウドファンディングの最大手。まだIPOを実現している未上場企業はでていないが、今後IPO実績がでてくれば資金調達環境が大きく変わる可能性あり。

    コラム:意外と気づかない、忘れがちな落とし穴

    商標登録忘れ

    スタートアップの場合、意外とサービスの商標を取得していないことがあります。事業が小さいうちはよいですが、事業が大きくなった際に著作権侵害の可能性や、競合他社に商標取得されてしまい、サービス名を変更するリスクもでてきます。

    最近ではオンライン完結で安価に商標取得が可能になっているので、確認がてら自社・自社サービスの名前で検索してみるとよいと思います。

    商標登録プラットフォーム『Cotobox』


    契約書リスク

    投資家から資金調達をする際、法律素人の起業家が契約書を理解するのは困難です。でも弁護士に丸投げすると馬鹿にならない費用もかかってしまうこともあり、自社で独自にやってしまっている方も多いのが現状。


    基本的には弁護士に相談すべきですが、効率的に時短で進めたいなら、リーガルテックサービスが増えてきているのでうまく活用すると良いでしょう。


    例えば以下のAI-CONであれば契約書のドラフトも載ってますのでお薦めです。

    AIによる契約書チェックサービス『AI-CON』


    なお、投資契約書だけでなく、株式を保有している創業メンバー同士の創業者関契約書は絶対に締結してください。揉めた際の転ばぬ先の杖です。



    編集後記

    シード期の課題は「資金調達」「初期メンバーの巻き込み」の2つが大きいですね。シード期の仮説検証に関しましては、起業ログでも「リーンな仮説検証法|創業期のベンチャーに資金調達は必要か?」という記事を書いてますので、ぜひご参考にしてください。

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    現在、登録済のベンチャー企業は8,500社以上、投資家数は3700名以上。


    画像出典元:unsplash


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