三井住友海上キャピタルの特徴・評判・投資先実績を独自取材

三井住友海上キャピタルの特徴・評判・投資先実績を独自取材

2022.02.22

「革新性・独自性・先進性」の観点で投資したスタートアップの企業価値向上に注力する三井住友海上キャピタルの特徴・投資先実績・投資判断のフローを解説します。


投資テーマや投資スタイル、組織体制などを独自取材しました!

(作成:StartupList編集部 最終更新:2022/02/24)





三井住友海上キャピタルの概要


設立

1990年12月

ファンド規模

508億円(運営中ファンド・2021年12月末現在)

ファンド本数

12組合(運営ファンド中・2021年12月末現在)

組入中ファンド

・MSIVC2021V投資事業有限責任組合(100億円)

・MSIVC2020V投資事業有限責任組合(100億円)

ファンドの特徴

投資後の企業価値向上に注力し、三井住友海上グループを始めとする当社リソースを活かした投資先支援を行う

投資ラウンド

Seed以降すべてのラウンドに対応 (マイルストーンを共有した上で、積極的に追加投資を行うスタイル)

バリュエーションレンジ

案件に応じて柔軟に対応

投資金額

初回投資500万〜5億円(原則)案件に応じて柔軟に対応

リード投資

案件に応じてリード投資を行う

海外投資

アメリカ・インド・イスラエル等のスタートアップに投資実績あり

タイプ

VC

投資スタイル

ハンズイフ
(投資先の要望に応じて必要な内容をサポート)

支援内容

・三井住友海上グループ各社との連携機会の提供

・三井住友海上グループの取引先とのビジネスマッチング

・投資先に必要な人財の紹介

投資テーマ

IT系を中心に幅広く投資し、具体的には、AI、Webサービス、ヘルスケア、フードテックへの投資が多い

地域性

その他

・若手起業家への投資を積極推進

・成長段階に合わせて累積投資実績あり

・シード・アーリーステージへの投資実績あり

会社HP

https://www.msivc.co.jp/

連絡先(StartupList)

白松さん細谷さん


三井住友海上キャピタルの組織体制

以下の9名のキャピタリストを中心に、投資検討等を実行しています。



中村 勝亮 

1987年大正海上火災保険(現三井住友海上火災保険)に入社後、船舶保険部門および資産運用部門での業務経験を経て、2013年当社に入社。以来、フロント部門のヘッドとして、ITスタートアップへの投資を中心に拡大してきました。当社は、様々な業界でイノベーションを目指す「若者・バカ者・よそ者」の味方であり続けると共に、事業会社のオープンイノベーション推進に貢献したいと考えています。




平井 宏明
2014年11月、当社に入社。大学卒業後から約30年間、国内ベンチャーキャピタルで投資業務に従事。長年の投資経験を活かして、日本から世界を目指すStartup企業や、より良い世界に変えようとする若い起業家たちへの投資・事業支援に注力します。




望月 一弘

1990年住友海上火災保険(現三井住友海上火災保険)入社。海運、物流業界を中心に企業向け保険営業に従事。2018年損害保険事業総合研究所主席研究員。主に米国保険業界におけるRM等の動向について調査研究。米国認定損害保険士(CPCU)取得。2021年当社に入社。少ない投資経験を熱意でカバーし、起業家の皆様に伴走して参ります。




白松 昌之 

1997年、東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行。2002年オリックス・キャピタル、2009年安田企業投資、2012年当社に入社。2002年より一貫してベンチャーキャピタリストとして、多数のスタートアップ企業への投資、支援に携わる。高い志を持った、若さとやる気あふれる起業家の皆様を積極的に支援します。




安藤 雅明 

日興シティグループ証券で資金調達並びにM&Aアドバイザリー業務に従事。12年から当社にて約10年で国内外のスタートアップ30社超への投資および支援を主導。主な投資先は、マネーフォワード、メドレー、かっこ、QDレーザ、Drivemode、リノベる、ライナフ、PIAZZA、バルス、Clear、Crevo、Medikabazaar、LetsTransport等。信頼関係を築き、起業家に伴走していきます。



細井 健太郎 

2007年、三井住友海上火災保険入社。リテール営業、企業営業にて、代理店指導・育成、各種保険、リスクマネジメントの提案を経験。2021年当社に入社。投資先企業の成長に向けた積極的な支援を行います。また、三井住友海上火災保険、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス、および、グループ取引先企業の課題解決に向け、投資先企業のプロダクト・ソリューションの提案を行います。



井出 綾介

2007年に大学卒業後、総合商社系のIT商社、上場ソフトウェア開発企業にて営業・マーケ・新規事業開発を経験、シンガポールの国立系大学でMBAを取得後、国内大手電力会社のCVC部門へ参画し、海外ベンチャー企業への投資業務、新規事業開発に携わる。2019年に当社へ入社し、海外および国内案件を担当。既存事業をディスラプトする可能性のある事業・起業家を支援いたします。



細谷 裕一

大学卒業後、KDDIに入社。CVC部門にてベンチャー投資に関わり、ファンド運営・協業推進、投資先支援等を経験。その後、M&A担当部門にて資本業務提携等に携わる。2018年12月より当社に入社。主な投資先、A.L.I.Teechnologies、Synamon、VAAK、クラウドクレジット、POST COFFEEなど。未来を変えたい熱意を持った方に伴走し、積極的に投資をしていきます。



島﨑 卓也 

2013年に大手専門商社へ入社。繊維部門にて法人営業、工場経営支援を経験の後、新規事業開発、ファッションテック領域への事業投資に従事。2021年当社へ参画。新規投資先の発掘と投資企業のバリューアップ業務を担当。熱い気持ちを持った方々と最後まで一緒に走り続けます。


三井住友海上キャピタルの投資判断のフロー


審査プロセス

審査プロセスは以下のフローになります。


 ①ピッチ及び面談
    ②必要に応じて追加面談を実施
 ③投資委員会での投資決裁

審査には平均2〜3ヶ月ほどかかります。


初回面談に必要な書類

審査には以下の書類が必要です。


  • 事業概要や事業計画に関するピッチ資料


その他、会社の状況に応じて依頼します。


投資判断における審査ポイント

重視する点は以下です。


  • 独自性 (オリジナリティがあるかどうか)

  • 革新性 (新しさがあるかどうか)

  • 先見性 (将来的な需要やマーケットがあるかどうか)

また、


  • 三井住友海上キャピタルと共有したマイルストンを達成できるか

(マイルストンの達成状況によって、追加投資を実施検討・実施する)


これらを総合的に判断して、審査します。


マッチしにくい/相性の良くない会社や起業家

こんな会社や起業家には投資しにくい、というポイントについて伺いました。

  • 株式上場を目指していない場合(はじめからM&Aを目的とする場合など)


エンジェル投資家の探し方については下記にまとめましたので、興味がある場合はご一読ください。

関連記事:エンジェル投資家とは?出資の受け方、知っておくべき裏の顔 関連記事:エンジェル投資家とマッチングするには?おすすめ方法4選と落とし穴

三井住友海上グループのアセットを活かした投資先支援


三井住友海上キャピタルでは、シナジーを前提としない純投資を行いますが、投資先の事業内容や要望に応じて、三井住友海上グループのアセットを活かした本業支援を行っていることが特徴です。具体的には、共同実証実験や協業関係の構築、取引先の紹介といったビジネスマッチングなどを行っています。

他にも、オープンイノベーションに熱心に取り組む企業向けに、投資先の商品やサービスを売り込む「出前ピッチ」を実施しており、投資だけでなく、投資先にとって成長や売上に繋がる支援を行う、パートナー的存在にもなっています。


三井住友海上キャピタルの投資先


これまでに100社以上のスタートアップ企業に投資しており、2020年度には34社に出資を行っています。(2022/02/09時点)


代表的な投資先企業:Arithmer株式会社



画像出典元:会社HP https://www.arithmer.co.jp/


【事業概要】高等数学を活用したAI開発、DX支援を行う。当社独自のアルゴリズムでAIモデルを実装し、動画解析、異常検知、運転支援、予知予測、AI-OCRなど、サーバだけでなくスマートフォン上でも動作するソリューションを多数展開。高等数学を駆使した実数3次元モデリング「Arithmer R3」やビッグデータ解析「Arithmer DX」、ロボットシステム「Arithmer Robo」なども開発・提供。

【会社HP】https://www.arithmer.co.jp/

【投資への経緯】創業前から三井住友海上とAIシステム開発を行っており、三井住友海上キャピタルは、会社設立の初期段階から支援してきました。以降、当社のステージ毎の資金調達支援や業容拡大に向けた本業支援に取り組んでいます。

★三井住友海上グループ(三井住友海上火災保険)にて、AIドローンとチャットボットを活用した「水災デジタル調査」ツールとして導入されています。

代表的な投資先企業:株式会社SPACER



画像出典元:会社HP https://company.spacer.co.jp/

【事業概要】ロッカーの予約から開閉までをスマートフォンで行えるスマートコインロッカー「SPACER(スペースアール)」の開発、提供。

【会社HP】https://company.spacer.co.jp/

【投資への経緯】当社から出資依頼があり、スマートコインロッカーの将来性に着目して、事業立上期から用途開発を試行錯誤しながら、ハンズオン支援を行っている投資先です。業容拡大に向けて事業化の解像度も高まっており、引き続き本業支援を行っていきます。

★プロトスター社のコミュニティ卒業生。Gear Change Day登壇企業


代表的な投資先企業:株式会社Synamon



画像出典元:会社HP https://synamon.jp/

【事業概要】VR空間で最適なユーザ体験を創る為のベースシステム「NEUTRANS」、会議や研修などで利用できる法人向けサービス「NEUTRANS BIZ」「NEUTRANS SOLUTION」、高品質なメタバース関連ソリューションの提供。

【会社HP】https://synamon.jp/

【投資への経緯】同社のVRサービスへの可能性を感じ、2019年に初回投資を実施。三井住友海上火災保険との研修システム開発など事業進捗に合わせて、2020年追加投資を実施。引き続き本業支援を実施していきます。
★三井住友海上グループ(三井住友海上火災保険)と協業で、VRを活用した自動車損害調査研修メニューの開発を行っています。また、追加投資を実行しています。


まとめ

三井住友海上キャピタルの特徴は、三井住友海上グループからの本業支援や取引先の紹介といったビジネスマッチング等、スタートアップの事業成長のためにダイレクトな支援が可能である点です。三井住友海上キャピタルでは、投資企業を特定領域に限定せず、また、シナジーを前提としない純投資を行いますが、グループのリソースを活かした成長支援も可能になっています。興味のある方はぜひ、ご連絡してみてください。

※概要欄に連絡先を記載しております。

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画像出典元:unsplash


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