プロトスター株式会社 代表取締役の前川英麿です。本記事では、2026年最新版としてCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)をご紹介します。
私自身、プロトスターとしてテレビ東京コミュニケーションズから出資を受けており、CVCとの資本業務提携がもたらす事業成長のインパクトや、実際の連携のリアルを肌で感じてきました。
2026年現在、スタートアップと大企業の連携(オープンイノベーション)は「ブーム」を超えて「当たり前の経営戦略」として定着しています。しかし、CVCにはそれぞれ明確な「色」があり、選び方を間違えるとシナジーが生まれないこともあります。
本記事では、主要なCVCの投資方針や特徴を整理し、起業家の皆様が「自社に合うパートナー」を見つけるための判断材料を提供します。
CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)とは?
CVCの主な投資基準は、純粋なリターン(キャピタルゲイン)だけでなく、「投資先事業とのシナジー効果があるか」が最重要視されます。
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業務提携の可能性: 自社のアセットを使ってスタートアップを伸ばせるか
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本業の強化: スタートアップの技術で自社サービスが拡充されるか
これらが審査の大きなポイントとなります。以下、代表的な事業会社系CVCを紹介します。
事業会社系CVC
Z Venture Capital
2025年に新ファンド設立。AI・コマース領域の覇者
LINEヤフーグループのCVC。2025年上半期に300億円規模の「ZVC2号ファンド」を新たに設立し、半年で約20件という猛烈なスピードで投資を実行しました。

| 強み | LINE・PayPay・Yahoo! JAPANという国内最大級のユーザー接点へのアクセス |
| 注力領域 | AI、メディア、コマース、Fintech、宇宙(ディープテック) |
| 特徴 | 日・米・韓の3拠点体制で、グローバル展開も支援。生成AI領域への投資判断が非常に速い。 |
| ここがポイント | 圧倒的なリーチ力を活かした「社会実装」のスピード感は国内随一です。 |
KDDI Open Innovation Fund

8年連続「スタートアップが選ぶ大企業No.1」。支援の厚さが別格
2025年4月に5号ファンド(KOIF V)を設立し、AI・DeepTech支援をさらに加速させています。長年、スタートアップ支援のトップランナーとして君臨し続けています。
| 強み | 通信インフラ、au経済圏、そして「αU」などのWeb3/メタバース基盤 |
| 注力領域 | AI、DeepTech、エンタメ、Web3 |
| 特徴 | ハンズオン支援部隊が強力で、KDDI本体との事業共創(ビジネスマッチング)の実績数が桁違い。 |
| ここがポイント | 「ただの出資」で終わらせず、KDDIの営業部隊が自社サービスを売ってくれるレベルの協業が期待できます。 |
セブン銀行

| 設立 | 2001年4月10日 |
| 所在地 | 東京都千代田区 |
| ファンド規模 | 本体のバランスシートに基づき出資 |
| ファンドの特徴 |
社会インフラの一つとなっているATMプラットフォーム事業を筆頭に、国内外、個人法人問わず事業を多角展開しており、それらの事業とのシナジー効果の発揮を見込める場合において出資を検討する。 具体的な投資領域例は、「ATMサービス」、「リテールならびに法人向け金融サービス」、「就労外国人向けサービス」、「セキュリティ・データビジネス」「BPO」など。 |
| 投資ラウンド | Seed, pre-SeriesA, SeriesA, SeriesB以降, Pre‐IPO |
| バリュエーションレンジ | 5,000万~100億円以上 |
| 投資金額 | 1,000万~10億円以上 |
| リード投資 | 案件によってはリード投資もする |
| 海外投資 | 案件によっては海外投資もする |
| タイプ | CVC、直接投資 |
| 投資スタイル | ハンズイフ |
| 投資テーマ |
セブン銀行との事業シナジーがあることを前提に投資 具体的には、ATMに関わる以下のような事業 ・コンビニらしい金融サービス ・セキュリティ ・日本に住んでいる就労外国人向けサービス ・スモール法人向け金融サービス |
| 地域性 | 全国 |
| その他 |
起業初心者からの相談歓迎 学生起業家・若手起業家からの相談歓迎 社会人からの相談歓迎 |
| 会社HP | https://www.sevenbank.co.jp/ |
| 連絡先 | 西井さん |
2016年から本格的にスタートアップ企業への投資や資本業務提携などの活動を開始しました。「何か新しいモノをスピード感を持って実現するには、スタートアップの力を借りる必要があるのではないか」という考えでスタートアップ企業と向き合っています。
投資判断における審査ポイントは
・当社事業にシナジー効果を発揮できるか
・当社戦略上の意義あるケースか
・業務的な提携を含め当社サービスの拡充、効率化が見込めるか
という点になっております。
代表的な投資先として、個人向け決済サービスのバンドルカードを提供するKanmu、タイミーが挙げられます。
関連記事:セブン銀行の特徴・評判・投資先実績・投資判断のフローを独自取材
三井住友海上キャピタル

| 設立 | 1990年12月 |
| 所在地 | 東京都千代田区 |
| ファンド規模 | 508億円(運営中ファンド・2021年12月末現在) |
| ファンドの特徴 | 投資後の企業価値向上に注力し、三井住友海上グループを始めとする当社リソースを活かした投資先支援を行う
|
| 投資ラウンド | Seed以降すべてのラウンドに対応 (マイルストーンを共有した上で、積極的に追加投資を行うスタイル) |
| バリュエーションレンジ | 案件に応じて柔軟に対応 |
| 投資金額 | 初回投資500万〜5億円(原則)案件に応じて柔軟に対応 |
| リード投資 | 案件に応じてリード投資を行う |
| 海外投資 | アメリカ・インド・イスラエル等のスタートアップに投資実績あり |
| タイプ | VC |
| 投資スタイル |
ハンズイフ (投資先の要望に応じて必要な内容をサポート) |
| 支援内容 |
・三井住友海上グループ各社との連携機会の提供 ・三井住友海上グループの取引先とのビジネスマッチング ・投資先に必要な人財の紹介 |
| 投資テーマ |
IT系を中心に幅広く投資し、具体的には、AI、Webサービス、ヘルスケア、フードテックへの投資が多い |
| 地域性 | ー |
| その他 |
・若手起業家への投資を積極推進 ・成長段階に合わせて累積投資実績あり ・シード・アーリーステージへの投資実績あり |
| 会社HP | https://www.msivc.co.jp/ |
| 連絡先 | 白松さん・細谷さん |
審査のポイントとして、
・独自性 (オリジナリティがあるかどうか)
・革新性 (新しさがあるかどうか)
・先見性 (将来的な需要やマーケットがあるかどうか)
・三井住友海上キャピタルと共有したマイルストンを達成できるか
が挙げられます。
代表的な投資先として、AIシステム開発を行うArithmer株式会社、ロッカーの予約から開閉までをスマートフォンで行えるスマートコインロッカー「SPACER(スペースアール)」の開発が挙げられます。
関連記事:三井住友海上キャピタルの特徴・評判・投資先実績を独自取材
GMO VenturePartners

| 設立 | 2005年9月28日 |
| ファンド規模 | 170億円 |
| ファンドの特徴 | 現在時価総額1,000億円を超える有望スタートアップに、早期から数多く投資・支援する中で蓄積した経営支援の経験値・ノウハウ |
| 投資ラウンド | Seed, Pre-SeriesA, SeriesA, SeriesB以降, Pre-IPO |
| バリュエーションレンジ | 上限・下限共になし |
| 投資金額 | ~10億円 |
| リード投資 | 案件によってはリード投資もする |
| 海外投資 | 案件によっては投資もする |
| タイプ | CVC |
| 投資スタイル | ハンズイフ |
| 投資テーマ | IT領域全般 近年はFintech関連に注力 |
| 地域性 | - |
| その他 |
起業初心者からの相談歓迎 学生起業家・若手起業家からの相談歓迎 研究者からの相談歓迎 社会人からの相談歓迎 スタートアップへの転職相談歓迎 フォロー投資に積極的 |
| 会社HP | https://gmo-vp.com/ |
| 連絡先 | 宮坂さん、鵜野さん、川野さん |
代表的な投資先として、NewsPicksや企業・産業分析を行う人向けの情報プラットフォーム「SPEEDA」を運営する株式会社ユーザベース、Chatwork株式会社が挙げられます。
投資判断における審査ポイントについては、
・マーケット
・経営陣
・ビジネスモデル
の上記3点について、個別の内容と全体のバランス、長期的に成長・拡張し続けられるかを見ています。その他は事業とフェーズに応じて総合的に判断しています。
関連記事:GMO VenturePartnersの特徴・投資先実績・投資判断のフローを徹底解説
SAPジャパン

| 設立 | 1992年10月16日 |
| ファンド規模 | 非公開 |
| ファンドの特徴 | EPRを初めとしたSAP全製品と補完できる技術/サービスを持つ会社が対象。他都市のSAP.iOとの連携によるグローバル展開の支援が強み。 |
| 投資ラウンド | Seed・Pre-SeriesA・SeriesA・SeriesB以降 |
| バリュエーションレンジ | 非公開 |
| 投資金額 | 非公開 |
| リード投資 | 案件によってはリード投資もする |
| 海外投資 | 積極的に投資をする |
| タイプ | CVC |
| 投資スタイル | ハンズオン |
| 投資テーマ | B2B Technology全般 |
| 地域性 | ー |
| その他 |
PR支援が充実 営業ネットワーク提供 SAP製品とのインテグレーション支援、他SAP.iO拠点との連携によるグローバル展開支援 |
| 会社HP | https://sap.io/foundry-tokyo/ |
| 連絡先 | 三木さん |
SAP.iO Foundryは、SAPがグローバルで展開するスタートアップ向けプログラム「SAP.iO」 ( https://sap.io/ )の取組みの1つです。東京では、日本の産業界の変革ニーズとの接点を提供しスタートアップとの共創を促進する“実践型”アクセラレータープログラムとして2019年に開始し、初回のコホートプログラムを終了しました。
アクセラレータープログラムでは、B2B向け事業戦略に寄与するノウハウの共有やSAPエンタープライズ顧客への共同アプローチを行います。
代表的な投資先として、倉庫業務に対する自律走行型ロボットおよびAI物流ソフトウェアの提供を行うGROUND、クラウドベースの物流情報プラットフォーム「MOVO(ムーボ)」の提供を行うHacobuが挙げられます。
2026年、CVC選びで失敗しないためのポイント
私たちがテレビ東京コミュニケーションズ様とご一緒して感じたのは、「メディアアセットの活用」という明確な武器があったことの重要性です。
CVCを選ぶ際は、単にお金を出してもらうだけでなく、以下の3点を自問自答してください。
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アセットの適合性: 相手の持つ「顧客基盤」「技術」「ブランド」「メディア力」は、自社の今の課題を解決するものか?
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スピード感の一致: 担当者レベルだけでなく、会社全体としてスタートアップのスピード感に合わせてくれるか?
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担当者の熱量: 最終的には「人」です。社内の稟議を通してでも応援してくれる担当者がいるか?
まとめ:自社に合った投資家を効率的に見つけるには
CVCはそれぞれ得意領域や支援リソースが全く異なります。 「有名だから」という理由だけで選ばず、自社の事業シナジーを深く検討してみてください。
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