【事業成長期(50→100)レイター期編】急成長したスタートアップに聞く、事業成長フェーズごとにぶつかった事業・組織の課題とその対策

【事業成長期(50→100)レイター期編】急成長したスタートアップに聞く、事業成長フェーズごとにぶつかった事業・組織の課題とその対策

■はじめに

ここ数年間、資金調達に関する事例やノウハウの共有はおおきく進みました。
しかし、事業フェーズごとに起業家がぶつかる壁(課題)についてはあまり共有されていません。
壁にぶつかる度に先輩経営者へ相談している人がほとんどです。

そこで今回、急成長してきたスタートアップ、もしくはここ数年でIPOした会社のCXOに対してヒアリングを行い、事業フェーズごとに「気をつけるべき課題」についてまとめてみました。今回はレイター期編です。

将来何が起きるのか、あらかじめ把握しておくのがベストだと思うので、ぜひご一読ください。記事は定期的にアップデートしていきます。




▶0から100までの道のり(書籍「0 to 100 会社を育てる戦略地図」図引用)






上場準備期(50→100)レイター期・Pre-IPO期

上場の最終フェーズにきている段階。市場の中で明確なポジションが確立され、組織化・仕組化が成熟し、事業運営が経営者の手元から離れていく。


上場に向けた体制づくり

起業家コメント

  • 2012年までは部門があってないようなもの。2012年から「開発」「営業・広報」「CS」「バックオフィス(ここは代表がやっていた)」。2014年にオフィスを渋谷に移転、理由は採用を有利にするため。ここで「採用」「経理」「法務」部門ができた。2016年100名くらいで「経営企画」ができ、そこか上場に向けて「内部監査」を設置した。

  • 監査法人は10億円の資金調達する前くらい、数億円調達するくらいのタイミングがよい。それくらいの段階じゃないとと監査法人側を受け入れる余地があまりなくなってしまう

  • アメリカ型で株式を放出してしまって、上場後の成長に必要な要素をどんどん巻き込んでいけばよいと思う。そもそも上場したら、公開市場にさらされるのだから、未上場市場で訓練する的な思考でよいのでは。

  • より成長するシナリオを描くためにの新規事業と、既存事業とでハレーションが起きた。組織を無理に変えにいくのは難しく、新卒を上手く使うことで新規事業と既存事業の融和を図っている。新卒を配属すると新卒同士で情報交換をしてくれるから、新しい事業の話も、既存の事業の方も話が広がっていく。ローテーションもしていくと文化交流がしていく。

  • スタートアップにとって過去の負債(初期の管理がずさんな時期の元社員からの残業未払い、辞めた社員による風評被害など)が顕在化するタイミング。きっちりと前もって予防策をしておけば避けられることは、お金を払ってでも早期に対応しておくべき。

  • 上場する時期や、上場しそうといった噂には常々気をつけていた。女性関係の問題などで上場に影響を与えないように大人数に集まるパーティへは参加しないなど、経営陣たちで対策をしていた。

    上記に加えて、Relux 篠塚氏が作成したnote「【超長文】スタートアップ経営で現れる壁と事例とその対策について」が大変参考になるため、以下に抜粋部分を記載する。より詳細を見たい方はnoteをご覧ください(必読なnoteです)。

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    解像度も低く視認性も悪く、これまでとは全く違う壁が突如として現れる。それがこの倫理/ガバナンスの壁である。この壁はとてつもなく厄介で、全く見えないこともしばしばあるくせして、顕在化した瞬間に会社や人材を一撃で完全壊滅させるパワーを持っている極めてやばいやつです。IPOや大型なM&Aを経験した人からすると、第一フェーズにおけるラスボスとも言えましょうか。IPOや大型M&Aというイベントではセットで、必ず通るべき壁なのです。

    ここでは、いわゆる守りのガバナンスだけではなく、攻めにもガバナンスが必要なのでそんな話をしてみようと思う。

    守りのガバナンスについてですが、管理や経理や法務などといったよく聞くやつです。守りのガバナンスが必要な理由は非常にシンプルで、最初に書いた通りだが基本的にはマーケットから一発レッドカードを絶対にくらわないためのものになる。というのが私の結論です。レッドカードといえど種類がいくつかあるが、解任や解雇、犯罪の発生によるブランドダウン、サービスの停止、会社活動の停止、IPOの承認取り消し、株主代表訴訟など様々である。創業期はCEOのパワーにあまりにもよりすぎるため、よくも悪くも速度は上がるが、致命的な漏れが発生しえます。これをカバーする管理システムこそがそれです。

    例)
    ・経理や振込処理のプロセス改善。複数人にして、不正ゼロ化
    ・パワハラなどのコールセンター設置、心理的安全性の確保
    ・GDPRなど個人情報保護に関する対応や、セキュリティリスク

    攻めのガバナンスとはつまり、プロダクト開発の意思決定にもガバナンスがあるかどうか。を指しています。プロダクトガバナンスと呼んでます。組織上で、誰か(片側サイド)一存だけでザクザク決めすぎていないか、影響範囲の見誤りはないか、プライシングの変更など致命傷が起こらないか、顧客の一斉離反は起こさないか、複数利害のあるサービス(たとえばReluxなら宿泊施設様とカスタマーの二者が存在するなど)では均衡が保たれているか、など。それらに対する正しい意思決定ができているか? いないか? の判別点と言えそうです。

    例)
    ・営業部はやりたくない機能を、マーケ部によって実行してしまう
    ・技術部は先にやるべきと思うリファクタリングやセキュリティ対策が、後回しにされてしまう
    ・開発優先順位が、組織のパワーバランスによって決まっていく

    攻めのガバナンスについては、最後は執行担当だけではなく取締役の大胆さも求められるのだと思います。社外取締役の方も含めて、常に適切なジャッジをする体制がグロースの鍵ではないでしょうか。

  • 聞き手コメント

  • 急成長をしてきたことで疎かになっていた「組織的負債」が顕在化すると、一発でレッドカード退場になるリスクがあるのは大変怖いですね。この負債は、成長活動に伴って発生する組織文化上の妥協物であり、未来にそのツケを払う類のもの。成長フェーズに合わせて責任者が負債返却に都度取り組むべきなのでしょうね。

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  • Rusty
    オンラインによるIPOコンサルティングと上場準備に必要な書類のテンプレート・雛形を提供するWebサービス

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    ”起業家の良きパートナー”としてテクノロジー企業のM&A、IPO、コーポレートファイナンスといった財務戦略を支援する会社。

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    1970年の創業以来、数多くの中堅・中小企業をサポート。成長企業については、成長手段のひとつである株式上場(IPO)の実現に関するご支援も、数多く実績を保有。

  • 上場に向けたエクイティストーリー作り

    起業家コメント

  • IPO直前に問わせるものはアウトプットのみ(売上、利益、成長)

  • 小さい市場でも、一番を取ることがスタートアップでは重要。NO1の実現は成長エンジンの1つになる。新しい市場で優位性を築くのは容易ではない。

  • NO1のメリット:B2Bの場合、お客様から声をかけけらる率が圧倒的に上がる。受注率があがる。株式市場からの評価されやすい等。

  • 適切なIR活動を通して投資家の期待値をコントロールすることが重要。期待値を上げすぎると上場ゴールと批判される可能性もあるため、期待値のバランスを保って、投資家との信頼醸成を目指した。

  • 聞き手コメント

  • 上場に伴う資金調達によって上場後のスタートアップがどう成長していくのか、上場ゴールと言われるような期待外れにならないか、市場はかなりシビアに実績と将来見通しを分析してきます。以下に掲載する2社(ラクスル、メルカリ)のお話が大変参考になるので、是非ご一読ください。

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  • 参考記事:『IPO後の成長に向けたラクスルの資本市場戦略』(signifiant style)

  • 参考記事:IPO経験者はゼロ。メルカリ上場までの軌跡をコアメンバーが語る『THE BUSINESS DAY 02』レポ(Mercan)